第3回 アンサンブル主体のニューオルリンズ・リバイバル

以下、連載コラム。

19世紀後半から1910年代にかけてのバンク・ジョンソンは、驚くほど美しい音で吹いたと言われています。ニューオリンズジャズ史に残る、偉大なトランペット奏者と言えるでしょう。
残念なことに、かれが録音の機会に恵まれたのは、全盛期とは言えない1942年のことでした。ジャズ史研究家のビル・ラッセルによって発見されたこの時、すでに歯は抜け落ち、10年近くのブランクがあったのです。総入歯で臨んだこの時の演奏からは、かれの本当の凄さを知るのは難しいでしょう。
紹介するCDは1944年の録音。ブルースの王様とは、なんとも凄いタイトルのアルバムですが、なかなかよい演奏です。かれとその仲間たちが作り出すアンサンブル主体の音楽は、ニューオリンズジャズの本質に迫ったものだと思います。

引用はここまで。

「録音に残されたバンク・ジョンソンの演奏はブランクもあり全盛期とは言えないものである」という主旨の文章でした。お恥ずかしいことですが、いくつかの録音を聴きなおすとこうした文章を紙面に載せてしまったことはあまりに短絡的だったと言うしかありません。
ビクターに残されたバンク・ジョンソンの録音などは、American Musicレーベルの一部の録音よりも力強い音ですし、ブルース曲の「SNAG IT」など素晴らしい演奏が続きます。レーベルが違えば録音技術に差が出てくるわけで、音質の差から受ける印象が違うという面もあるとは思いますが、モチベーションも相当高かったのではないかと思わせる演奏です。とにかくこのビクター録音については一聴の価値あり、です。(下記のCDの1~8曲目)

さらに、ブルーノートでのシドニー・ベシェとの録音では、フレーズもやや洗練されてきているような印象。ブランクのある入れ歯の老トランペット奏者が、ここまでの演奏をしているのには驚くしかありません。細かなミスはあるものの歌心のある音色で数曲吹いています。バンク・ジョンソンの真価を垣間見た気がしました。(下記のCDの5~9曲目)

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