所謂、人工知能系という括りにしてしまうのも乱暴な気がするのですが、昨今、ディープラーニングを活用したサービスが一般化してきており、個人でもその成果が享受できる世の中になってきているのはうれしい話です。

例えば、翻訳、白黒写真の着色、音声データの自動分類など、ジャズ研究においても恩恵を得られそうなネタが山ほどあり、今後の技術の進歩が楽しみなところです。原理的には、情報を配列形式で保持することが可能であれば、それはディープラーニングをはじめとする機械学習で取り扱うことができるわけで、文章、画像、音声……とあらゆるものが対象となり得るわけです。

例えば、音声データを学習させることで、その音源が誰の演奏したものであるのかを判別させることも可能かもしれず、古い時代のジャズにおいては、原盤が消失して状態のよくない音源しか現存しないことも、ままあることなので、これは妄想にしか過ぎないのかもしれませんが、ちょっと研究し甲斐のあるテーマかもしれません。そのフレーズの特徴や音程の微妙な揺らぎなどから、どの奏者が演奏した録音なのかの分類ができる……みたいなことが実現できると面白いですね。


世の中で実用化されている技術を組み合わせることで、さまざまな作業が効率化できるわけで、それは、ジャズ史関連の文献を読む上でも、活用の余地は充分にあり、私の場合だと、洋書を読む際には辞書を引くこともありますが、ディープラーニングを活用した翻訳サービスを併用していたりもします。

その翻訳サービスを利用する際には、文章を文字列データとしてキーボードから打ち込まなくてはならない為、これをコピー&ペーストで済ませる為に、OCR(光学文字認識)を利用しており、基本的な機能だけであれば、無料でここまでのことができるわけですね。


……などという前置きはここまでとして、いよいよ本題の写真の自動着色の話です。

Facebookページの方では先に投稿していたりもしたのですが、ColouriseSGというサービスがありまして、なかなか面白かったのでご紹介します。

「A deep learning colouriser prototype specifically for old Singaporean photos.」とあります通り、シンガポール特化の写真カラー化サービスのプロトタイプということになるのでしょう。学習データにシンガポールの古い写真が用いられたというだけで、古いジャズの写真も充分にカラー化してくれます。

The Washingtonians
Vaudeville Band
Bix and Trum
George E. Lee’s Novelty Singing Orchestra

影の部分が青く変換されてしまった惜しい写真もありますが、概ね満足のいく結果なのではないでしょうか。個人的には、George E. Lee の楽団の写真が好みの仕上がりで、Tシャツかトートバックにプリントしてみたくなりますね。

George E. Lee’s Novelty Singing Orchestra